ぜんまいばなし
専:今回は恒例の「山菜ばなし」ってことで。
ミ:ヤ:さんの家は山菜を作っているとか。
ヤ:作っているというか、前の年に山に植えておいて、翌年その場所へ家族が採りに行くだけみたいですけど。
専:栽培というわけではなく?
ヤ:世話も何もしないわけですから。勝手に生えてきたのを採るだけ。地元に集荷人がいて、その人に渡すと結構いい小遣いにはなるみたいです。
ミ:うちの市場に出荷すればいいのに。山菜の出回りの順番でいうと、早い順に「コゴメ」、「ゼンマイ、山うど」、「わらび」、「ふき」など、といったところでしょうか。今は「ゼンマイ、山うど」が真っ最中ですね。
(注:懇談会は4月15日午後に行われた)
専:「ゼンマイ」ってそういえばブログで取り上げたことなかったですね。「干しゼンマイ」はよく出荷されますけど。
ス:生の「ゼンマイ」が出荷されることは、ほとんどありません。そのまま(干さないで)食べることがあまりありませんので。アクが強すぎます。茹でるとお湯が真っ黒になるほどです。
専:そうなんだ。つまり、いったん干したものをわざわざ戻してからじゃないと料理に使えないということですね。
ミ:専務さん全然知らないんだ。「干しゼンマイ」は以前、毎年作ってましたから、任せてください。まず「ゼンマイ」を採ってきます。「オス」と「メス」の「ゼンマイ」がありますので、「メス」だけを採ります。
専:山で見て、これは「メス」だってすぐ判るものですか?
ミ:明らかに姿が違うのですぐ判ります。「オス」は大きくて、ごっつい感じ。「メス」はほっそり、スマート。
専:よくわからないなあ。女の人だって大きい人もいるし。
マ:「ゼンマイ」の話ですよね、これ。「オス」は「コゴメ」にちょっと似た感じ。「メス」は先端のくるくるしたところに「ワタ」がついてます。
専:「オス」は採られることもなく野山にひっそり残されるんですね。
マ:そういうことになりますね。もっとも「ゼンマイ」は「干しゼンマイ」を作ろうとする人しか採らないと思います。
ヤ:で、「メス」を収穫してくると、ワーッと広げて家族みんなで「ワタ」を取る作業をします。
ミ:さっと茹でると、茶色に変わります。それから「ゴザ」の上に広げて、少量ずつ手で揉む作業をします。根気よく全量を繰り返し揉みながら天日で干し上げていきます。手が真っ黒になります。
専:途中で雨が降ったら困りますね。
ヤ:絶対に雨に当ててはいけません。カビが生えてしまうので。わが家では雨の日には車庫にいったんしまっています。
晴れたらまた天日に広げて。揉む作業。これの繰り返しです。干し上がるまで晴天続きで1週間から10日ぐらいでしょうか。休まず続けます。黒っぽいチリチリした姿になったら出来上がり。
ミ:10kgの「ゼンマイ」からできる「干しゼンマイ」は1kgだそうです。
1kg入り
専:すごい手間ですね。「干しゼンマイ」の単価が高いのも当然なんだね。この間「ゼンマイの煮物」を知り合いの方からいただいたんだけど、焼きそば食べるみたいにさっさと食べちゃった。ちょっと後悔。
ミ:知り合いの「ゼンマイ」干してる人はどんな高値でも売りたくないって言ってました。知り合いとか近しい人にあげて食べてもらいたいって。気持ちが入っているんですね。
ヤ:私が住んでいる百川(ももかわ)は「ゼンマイ干し」が有名なんです。季節の風物詩みたいな記事で地方紙にとりあげられたこともあります。「久比岐自転車道」沿いの舗道いっぱいにゴザを敷いて「ゼンマイ」を干しています。今の時季なら行けば見られますよ。
<おわり>
懇談会の後日、ヤ:さんが提供してくれた「ゼンマイ」。実際に見たら一目瞭然です。
ごっつい「オス」
「メス」ほっそり
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